伊藤忠商事が独身寮復活。なぜ今か
少し前までは大手商社の中ではなんとなくイケテない商社のイメージもあった伊藤忠商事。
近年は、勝者が重視する純利益ベースで総合商社の中でトップになるなど、商社の中でも勝ち組の印象が強くなっている。
その伊藤忠がなんと男性社員向けに独身寮を復活した。昭和への回帰か?と思ってしまうほど、驚いた。
青山という東京の中でも一、二を争うおしゃれで洗練された場所に東京本社を構えながら、なぜそんなイケてないことをするのか。社員、特に若手は嫌がることを会社は理解していないのだろうか。
伊藤忠にとってのメリット
当然、会社としても社員寮や社宅を保有することは、コストもかかるし、管理上の煩雑さも上がる。管理部門からしたら面倒この上ない話だろう。
しかし、メリットがあるから今回の復活を行ったはずである。
社員寮を通じて、会社が期待することは、「社員同士のつながりが深まり、円滑な人間関係が構築され、ひいては仕事の能率が上がる、離職率が下がる」と言ったものだろう。
感覚的だが、寮で離職率が大きく変わるとは思えない。寮のような密な空間を好む人もいれば、嫌う人も当然いるはずだ。
仕事の能率が上がる。これは人間関係があるなしで大きく変わるので、可能性としてはあるかもしれない。
商社マンとしての能力の形成
あくまで外から見た印象でしかないが、商社マンの最も大きな能力は、「人脈形成術」と思う。アウェイなコミュニティでもうまく入り込んで、場の人間と仲良くなるということがうまい人が多いように思う。
今の商社は投資会社と化していてグループの会社へ出向して管理をするということが多く、投資先の会社でも円滑な人間関係を構築することが求められる。
その能力は簡単に身につくような話ではなく、それこそソフトな能力として、上司・先輩の動き方を見て学ぶところが多いように思う。
そんな力を身につけさせるために、寮という環境下で濃い人間関係の下で自然と学ぶ機会の最大化を図ろうとしているのかもしれない。