抽象化は能力だ。
自分の遭遇した出来事を、一つ上の概念へ昇華させて、他の事例に転用・応用する技術と言える(厳密に言うと、昇華するところまでが抽象化だけど)
この能力があるないとではあるイベントからえら得る経験値が大きく異なる。
例えば、先ほど「偉い人が「嘘をついてはいけない」と思っている。過去に嘘をついて危うくばれて失敗しそうになったことがあるからだ」という話を聞いた。
単純に「そうか、嘘はやめよう」ということで考えが終わる人も多いかもしれないが、抽象化できる人は、こんなエピソードをとっても、レベルを一つ上にあげて考えることが出来るかもしれない。
― 「嘘をつく」というのはコミュニケーションの中の一つ。適切なコミュニケーションが大事
ー この話は失敗談という括りの中の一つの話。自分の失敗談を語ることで、他人から信頼をえら得るのかもしれない
― 偉い人の過去の話の中の一つだが、危うくばれそうになったがばれなかったという話。偉くなれるかどうかは結局運次第なところが大きい
など、話どおりの帰結だけではなく、話の中のさまざまな要素を抽出して、上の視点から考えることで、一つの話から様々な示唆を得ることが可能だ。
これが自然に、毎日の習慣として出来ている人は、同じ情報に接していたとしても、他人とは全く違う角度から物事を見ている。
頭の中で整理する力が格段に高まる
この抽象力が高まると、頭の中を整理する力を格段に高めることが出来る。
物事をいろんな角度から見て、出来事を構成する要素を整理する。同じような出来事、あるいは一見すると同じような出来事でなくとも、パッと、「あのときのこの要素は今の話の重要な点と近いな」と類推することが出来る。
良くそんな発想できるな、と物事を見る視点が鋭い人が存在するが、彼らはこの抽象化を行う能力が非常に高く、一般の人には分からない共通点を見出すことが出来ている。
情報に「タグ」をつける
以前に、勝間和代さんがインタビュー記事を見たことがあった。勝間氏は、会計士、アナリスト、コンサルタントと、エリートの道を歩んでおり、常に多くの情報を処理しなければいけない立場にいる人だ。
自己啓発、というジャンルの本が流行した際には、多くの本を書いて、自己啓発の女王のような立場で有名だった人だ(最近はマージャンやボードゲームをしている人のイメージ)
彼女が、情報を整理する際には頭の中でその情報にタグをつけるようにしている、と話していた。
そのときは、タグをつけるの意味が良くわからなかったけど、出来事・イベントから要素を抽出して、関連する話、類推する話のときに必要に応じて頭の中から引っ張り出す、ということだとようやく腹落ち出来た。
頭の使い方一つの話だが、抽象化することを継続的に行うように習慣づけるのは簡単ではないかもしれない。でも、習慣づけられたときに得られる考える力も非常に強力なものだろう。