カカクコムの2018年売上高・利益は堅調な伸び
価格の比較サイト大手のカカクコム。現在は、価格.comのイメージよりも食べログのイメージが強くなってしまってますね。
2018年3月期の決算が発表されているため、見てみましょう。
決算期 | 2016/03期 | 2017/03期 | 2018/03期 |
売上高合計 | 41,275 | 45,089 | 46,782 |
営業利益 | 19,535 | 21,161 | 22,876 |
経常利益 | 19,581 | 21,164 | 22,820 |
税金等調整前当期純利益 | 19,568 | 21,201 | 22,820 |
当期純利益 | 13,100 | 14,839 | 15,699 |
売上高は468億円、営業利益は229億円と微増にとどまっていますが、相変わらず圧倒的な営業利益率です。ITの中でもウェブサービスの企業は自社のプロダクトが成功するとやはり強いですね。
食べログはホットペッパー、ぐるなびなど昔の競合の追随を許さず、またRettyなどの進行サービスが出てきても揺るぎのない地位を確保しています。市場独占で、まさにキャッシュカウ状態ですね。
バランスシートも自己資本比率は80%超で健全
資産合計 | 38,904 | 42,129 | 42,770 |
流動資産合計 | 34,674 | 37,042 | 29,559 |
固定資産合計 | 4,230 | 5,087 | 13,211 |
負債合計 | 6,793 | 6,731 | 8,862 |
流動負債合計 | 6,623 | 6,495 | 8,291 |
固定負債合計 | 170 | 236 | 571 |
純資産合計 | 32,111 | 35,398 | 33,908 |
株主資本等合計 | 31,928 | 35,176 | 33,573 |
現金・預金 | 28,319 | 30,890 | 21,029 |
有利子負債残高 | 403 |
バランスシート項目を見てみても、現金が総資産の約半分を占めており、その他は営業債権が中心。ピカピカの会社ですね。4億円の有利子負債は、銀行とのお付き合いのための借入れでしょうね。
キャッシュフローも「営業で稼ぎ配当する」という全うな流れ
キャッシュフロー計算書 | |||
営業活動によるキャッシュフロー | 13,302 | 16,337 | 16,000 |
投資活動によるキャッシュフロー | 1,023 | -2,083 | -8,415 |
財務活動によるキャッシュフロー | -7,776 | -11,657 | -17,447 |
フリーキャッシュフロー | 14,325 | 14,254 | 7,585 |
こちらも上場しているIT企業の典型的なキャッシュフローですね。営業で確りと稼ぎ、将来のための投資と、投資家への還元を配当を通じて実施しています。
カカクコムの株主
カカクコムの大株主は、同じくITサービスを提供するデジタルガレージ。カカクコムが上場をする前の2002年にデジタルガレージから出資を受けて、子会社となっています。現在は20%超の持分比率なので、関連会社という位置づけですね。
そして、デジタルガレージについで、電通が15%を保有しています。2012年にCCCが保有していた持分を電通に売却しています。16%の持分比率なので、関連会社ではないですが、電通からの取締役も受け入れています。
また2018年は数回の自己株式取得を通じても株主還元を行っていますね。まだまだ成長して、株価を伸ばすよという会社としての強いメッセージの現れでしょうか。
2017年は積極的なM&A・買収・出資を実行
カカクコムは2017年に株式会社ガイエという映画等のデジタル・プロモーション、PR、広告展開や、ウェブサイト制作等を手がける会社の株式を取得。
ガイエは、特にSNSの広告を得意とし、洋画・邦画問わず数多くのメジャー作品のSNS広告を手がけております。当社による株式取得は、当社グループの広告領域におけるソーシャルメディア広告への展開の強化をはじめ、さまざまなシナジー効果が期待できるとともに、メディア企業としての一層の価値向上に寄与するものと考えております。 (プレスリリース引用)
直接的に既存の事業とどう結びつくのかが見えづらいですが、強力な自社メディアをもっているカカクコムであれば有効な活用方法はいくらでもありそうですね。
また合わせて、株式会社LCLという高速バスの最短ルートや最安値を比較する「夜行バス比較なび」等を運営する会社を買収。
LCLの完全子会社化により、当社の価格比較領域におけるコンテンツ強化や当社の旅行事業との連携、営業人員やマーケティングノウハウの共有等、さまざまなシナジー効果が期待できます。また、主力の「夜行バス比較なび」における利用者属性は20代の若年層が全体の48%を占め、女性比率も70%を超えており、当社グループにおける一層の顧客基盤の拡大が見込まれます。(プレスリリース引用)
こちらは比較サイトということで、自社の有する既存事業とのシナジーまたは自社のナレッジを活用した更なる成長というシナリオが描きやすいですね。
ガイエは売上高10億円、LCLは売上高7億円弱のため、買収そのものでは収益へのインパクトはなさそうですね。
さらには海外企業への出資も実行
上記のM&Aに加えて、シンガポールの「Love, Bonito(ラブボニート)という女性向けのEC、実店舗の運営を行う企業へ18%を出資。
これまでカカクコムはアジアでの比較サイトなどの運用も行っておりますが、特別うまくいっている印象はなく、海外で稼げないというのが弱みだと考えていました。一方で、国内では次々とサービスを展開して、確りと柱を作れていましたが、やはり海外でもきちんと稼げるようにしようと会社としても考えているようですね。