DeNAの2018年3月期の決算
直近の決算状況は、売上高1,394億円、営業利益275億円、当期純利益は230億円。売上高は減収トレンドが継続。
2014/03期 | 2015/03期 | 2016/03期 | 2017/03期 | 2018/03期 | |
売上高合計 | 181,313 | 142,419 | 143,709 | 143,806 | 139,390 |
売上総利益 | 121,098 | 84,065 | 81,909 | 84,919 | 81,795 |
EBITDA | 61,361 | 35,577 | 31,102 | 34,243 | 38,911 |
営業利益 | 53,198 | 24,764 | 19,816 | 23,178 | 27,503 |
当期純利益 | 31,661 | 14,950 | 11,325 | 30,826 | 22,981 |
DeNAのセグメント収益
セグメントごとに見ても、ゲーム事業、EC事業、新規事業(ヘルスケア、キュレーション、オートモーティブ等)は軒並み減収減益となっており、横浜DeNAベイスターズを抱えるスポーツ事業だけが増収増益となっています。野球球団の買収を行ったときは、収益を伸ばす見立てもあったと思いますが、あくまで主たる目的は広告塔としてDeNAのブランドを高めることだったはず。それが野球球団だけ増収増益というのはなんとも皮肉な状況となっていますね。
【DeNAの報告セグメント】
1.ゲーム事業モバイル向けゲーム関連サービス(日本国内及び海外)(「Mobage(モバゲー)」等)
2.EC事業:eコマース関連サービ(「DeNAトラベル」、「モバオク」、決済代行サービス等)
3.スポーツ事業:「横浜DeNAベイスターズ」、「横浜スタジアム」の運営、「横浜DeNAランニングクラブ」等
4.新規事業:IP創出プラットフォーム事業、ヘルスケア事業、オートモーティブ事業、ネットサービスインキュベーション事業、メディア事業等
また全体の営業利益は一見増益のように見えますが、海外子会社を精算したことで、過去の為替換算差額をPLで100億円近く計上しているだけで実質的に今期の事業にかかわる利益ではないようです。この一過性要因を除けば大幅な減益は免れず、来期の予測は40%超の減益の見込です。
その他の収益では、当社海外子会社のDeNA Global, Inc. 及びngmoco, LLC の清算手続きが完了したことに伴い、連結財政状態計算書の資本におけるその他の資本の構成要素に累積されてきた当該海外子会社に係る為替換算差額の累計額を、資本から損益に振り替えた結果、当連結会計年度において10,656百万円を計上いたしました。
本業のゲーム事業がジリジリと減少している中で、次なる事業の柱がなかなか見えてこないのはしんどい状況ではないでしょうか。
DeNAの資産・キャッシュフロー
もちろん高収益企業であり、既存のゲーム事業からでも多額の現金が生み出されており、1,000億円近い現預金がつみあがっている状況です。このキャッシュをうまく活用できるかがDeNAにとっての次の成長の分かれ目ですね。
2014/03期 | 2015/03期 | 2016/03期 | 2017/03期 | 2018/03期 | |
資産合計 | 197,325 | 218,529 | 254,861 | 298,260 | 344,609 |
流動資産合計 | 111,309 | 114,127 | 119,822 | 145,627 | 157,105 |
固定資産合計 | 86,016 | 104,401 | 135,039 | 152,633 | 187,504 |
負債合計 | 51,770 | 54,027 | 58,533 | 61,564 | 73,460 |
流動負債合計 | 50,732 | 51,142 | 52,323 | 53,978 | 59,403 |
固定負債合計 | 1,038 | 2,885 | 6,210 | 7,586 | 14,057 |
純資産合計 | 145,555 | 164,502 | 196,328 | 236,696 | 271,150 |
現金・預金 | 65,394 | 68,724 | 75,169 | 88,152 | 103,668 |
有利子負債残高 | 1,300 | 2,303 | 2,990 | 4,500 |
キャッシュフローも営業活動で稼いで、次なる事業へ積極的に投資をしていることが分かります(財務活動のマイナスは借入金の返済ではなく、配当金の支払いですね)
2014/03期 | 2015/03期 | 2016/03期 | 2017/03期 | 2018/03期 | |
営業活動によるキャッシュフロー | 28,061 | 27,892 | 26,707 | 22,682 | 37,672 |
投資活動によるキャッシュフロー | -15,331 | -21,296 | -39,986 | -7,404 | -16,520 |
財務活動によるキャッシュフロー | -15,719 | -3,803 | 20,128 | -2,445 | -5,390 |
フリーキャッシュフロー | 12,730 | 6,596 | -13,279 | 15,278 | 21,152 |
このような状況の中で、DeNAはEC事業の一つであるDeNAトラベルの売却を決定しました(売却先は、旅行オンライン事業を営んでいるエボラブルアジア)。旅行サイトは多くの企業で似たような事業の展開が進み、レッドオーシャン化しているため、リソースを新規事業へ集中させるための策と思われます。
DeNAの株主構成
DeNAの筆頭株主は創業者である南場智子氏であり、約13%を保有しています。その他、任天堂が約10%、信託銀行が約17%であり、この信託の内の多くの持分は創業者メンバーなのではと思われます。(現在のDeNAの時価総額は約3,000億円で南場氏の持分は約300億円を超えますね)