グリーの売上高・利益推移
久々にグリーの収益状況を見ましたが、売上高と利益水準は予想通りの右肩下がりですね。5年前の2013/6期の1,500億円超の売上高から2017/6期は650億円と半分以下の下がり具合。
GREEほどの地位を築いた企業であってもここまで凋落する可能性があるのを見ると、ソーシャルメディアやソーシャルゲームの市場のスピード感のある競争がいかに大変かということを物語ってますね。
SNSからソーシャルゲームに舵を切って、収益面では大きく回復したmixiのように今後の主力事業を入れ替えて復活することを期待したいところ。
ちなみに2015/6期に当期純利益で大きく落ち込んでいるのは、出資先企業の減損が主因。本業でもうまくいかず、投資でもうまくいかず、と踏んだり蹴ったりの時期だったんでしょう。
ただ、改めて驚いたのは、ここまで売上高が急激に下がっていても、営業利益ベースで赤字とならない点。どんだけ固定費が低いんだとビビります。今後も売上高がこのままのトレンドで下がり続ければ、どこかで赤字転落、しかもそこまでいってしまうと新規事業や新規ゲームを開発する資金もなくなり回復の目処はなし、という状況に陥りかねませんので、なんとかまだ余力がある中で立て直してほしいところ。
やっぱりIT業界は一度うまくいって、そこから安定して横ばい推移と言うのは難しいので、常にファイティングポーズを取り続けることが求められ、マネジメントは気が抜けず大変ですね。
グリーの現在の事業内容
有価証券報告書におけるセグメントは単一のセグメントとして、分かれていません。
HPの事業概要を見ると、ゲーム事業、メディア事業、広告事業、投資事業と4つの事業領域を持っているようですね。広告は恐らくゲームのプラットフォーム内における広告の利用といったところであり、投資事業も新規事業獲得のためにグリーベンチャーズを通じたベンチャーキャピタル事業だと思います。
メディア事業はMINE BY 3M(女性向け動画マガジン)、LIMIA(生活関連マガジン)、ARINE(美容関連マガジン)等を運営しているようですが、残念ながら一つも聞いたことがなく、まだまだ苦戦をしているという状況ではないでしょうか。
ゲーム事業以外の収益源を確保するため、住まいプラットフォーム事業、ヘルスケアプラットフォーム 事業、広告メディア事業及びVR事業等へ経営リソースを投下して参ります。
DeNA同様にゲーム事業以外の収益多角化を図ろうとしたら、DeNAがMERYでやってくれたというところかと。
ゲーム事業が厳しい状況下で、他の新規事業の芽がまだ出ていないとするとどこまで体力が持つかがポイントですね。
グリーの株価推移
ピークの2012年以降、グリーの株価は案外じりじりと下がり続けていますが、収益の落ち込みと同じようには株価は下がっていない状況。下がっているとはいえ、売上高650億円、営業利益80億円は立派な数字ですからね。
ただ、体力が持つ間は良いですが、どこかでゲームあるいは新規事業がうまくいくという将来の絵が描けないと、どこかでドカンと急落することもありそうな気もします。
どうせなら、ちょこちょこと不動産でも買い進めて、ゲーム領域で生まれてくるキャッシュフローを堅実な投資に向ける、などしたら、結構投資家サイドは喜ぶのではなどと思っています。