LINEの売上高・利益(2017年1Q版)
ラインの2017年1月~3月までの第一四半期の決算が出たため、どんな成長をしているのかを確認。では早速。
月間アクティブユーザー数
日本で68百万人にリーチをできており、少しづつですが、着実にユーザー数も伸ばしているようです。どこかで頭打ちとなりますが、他のコミュニケーションツールが出てこない限りはとって変わられることはないはずです。
台湾・タイ・インドネシアでの内訳は不明ですが、まだまだ人口が伸びるインドネシアでもユーザー数の伸びが確認できるのであれば、日本での事業拡大が頭打ちとなっても成長余力はありそうですね。
LINE売上収益
売上高も2016年1Qの335億円から2017年1Qでは389億円と前年同期比で約16%の伸びを確保。足元では広告売上高の割合が高まっていくのが気がかりですね。広告中心のモデルはどうしても景気の影響を受けやすくなったり、ユーザーにとってウケの悪いサービスを追加し始めたりすることが多くなります。
単純なウェブ上のメディアと違い、ラインニュースの広告や企業のキャンペーンなどで企業アカウントとライン上でつながることで発生するコミュニケーションに対する課金などが中心のため、通常のユーザーにとってすぐ利便性が落ちることはないと思いますし、スタンプ等を始め他の企業にはないユニークな収益プラットフォームを有しておりライン自身もここを伸ばしていこうとしているので、あまり不安はありませんが。
地域別売上高では7割超が日本国内ですが、海外でのユーザー拡大に伴い、様々な事業展開もできるようになってくると考えられ、ここも現在の成長性を維持できるならばあまり不安はなさそうです。
LINE広告セグメント
広告の売上高は順調に伸びてるようです。
アクティブユーザー数が増えれば着実に成長をしますし、まだLINEの広告効果に懐疑的な会社も多いですが、実際にその広告効果が認められるようになれば、コミュニケーションの基盤として確固たる立場を築いているため、爆発的に広告売上高は伸びるかもしれませんね。
コミュニケーションセグメント
スタンプや着せ替えなどのコミュニケーションはジリ貧ではありましたが、2017年1Qでは一気に回復していますね。決算短信では年末から年始の年賀スタンプ効果で堅調に推移とのこと。これ以外に改善の要因がないのだとすると、2017年2Qのコミュニケーションの実績を見極める必要がありそうです。
コンテンツセグメント
LINEゲームやLINE漫画などを始めとするコンテンツ領域。こちらもアクティブユーザー数が減っています。LINEゲームはMAU(Monthly Active User)は一年前の2016年1Qと比較して1割近く減少しています。ゲームのリリース本数そのものが減っていて、ユーザーも減少しているようです。個人的にはゲームに依拠するのはリスクが大きいのでLINEにはあまり注力してほしい領域ではないですね。感覚としてはLINEなんだか雲行きが怪しいですね。
LINEマンガやLINE Musicの決済取扱高は右肩上がりを続けていますので、今後の成長に期待したいところ。ただ、わざわざ現在の絶対値を隠して成長率の%だけを示すところを見ると、まだまだ金額は非常に小さいのでしょうね。
その他セグメント
その他の売上高。いろいろなビジネスの詰め合わせのセグメントのため、過去からのトレンドを見てもしょうがない気がします。LINE PayやLINEバイトはテレビ広告もうって大々的なPRをしている割にはまだ収益貢献は少ないようですね。このセグメントの中の事業はまだビジネスの種という段階だと思うので、今後LINE PayやLINEモバイルなどが収益の柱になることを期待したいです。
ただ楽天や最近ではぞぞタウンのツケ払いなどのように、IT・EC上のプラットフォームが出来上がってくると利益率の高い金融領域に積極的に出てくることが多く、戦略としては間違っていないのだと思いますが、LINE Payには楽天カードのようなクレジットカードやツケ払いといった先払いにシステムで終わってはほしくないですね。
日本人の半分以上が毎日利用するという、他社が羨望するコミュニケーションインフラを活用して、便利な決済インフラも支えるような金融事業にLINE Payが育ってくれることを期待します。
LINE2017年1Q連結決算
ここからは連結決算の業績。コンテンツの減少がやはり気になります。広告はまだLINEの広告を活用していない企業を取り込む余地は大きいと思いますので、成長余力はありそうです。海外でも広告は伸ばしやすい領域だと思いますし。
連結決算営業費用
こちらは営業費用のブレイクダウン。少し驚いたのはマーケティング費用が思ったよりも大きくないこと。営業黒字を確保しているとはいえ、まだまだ先行投資が続くフェーズなので、足元の利益率を見てもあまり意味はないですが、成長中のITで最も費用がかさむのは広告関連費用であり、ブランドが確立し十分な知名度と継続的なアクティブユーザーを確保したところで広告費を抑えて一気に黒字転換を図るというのが急成長中のITベンチャーの一般的なモデルですが、LINEは少し違うようですね。その他事業の中に含まれている将来の事業の種を育てるために引き続き従業員の確保と大規模広告という投資を行うスタンスだと思うので、営業利益率が一気に向上するというのはまだ先の話になりそうです。