USCPAに合格した後のメリット・デメリット
USCPAに合格した後のメリットを考えてみた。正直、転職という場面を除くと全くメリットを感じない資格だ。
自分の職場には日本の会計士も多く、USCPAで会計の専門家を名乗るわけにはいかないという自分の卑屈な思いが出ているのかもしれないが、会計知ってますという顔もしない。
USCPAの資格を名刺にも書くことが出来るけど、それもしていない。試験を受けている最中は、名刺に書くことが出来るということに一定の憧れを抱いていたのも確かなので、この変化は自分の中ですごく意外である。
よく言われることだけど、資格をもっているだけで何か仕事が出来るわけではなく、USCPAを始め資格に合格することはあくまで何かの始まりにしか過ぎない。全くの未経験からUSCPAとって監査法人に移る方なんかはまさにその通りだと思います。
試験を受けている最中は、「試験に合格すれば(一定のレベルの)会計の専門家になれて、会計のアドバイスもできる」なんて無意識に考えてもいたけども、理論的な側面だけでのアドバイスはあるはずもなく、実務が分からない中で、試験で得た知識だけで仕事が出来ることもないです。
事業会社の方でも経理畑一本でキャリアを積んできた人にとっては、その辺の若手会計士なんかよりもはるかに実務に精通をしていて、会計原則に詳しい人は多い(監査という業務が出来る出来ないは別として)。あたりまえだけど、仕事の上では実務>理論の原則は崩れることがなく、試験に合格した後にいかに実務につなげていけるかが資格を生かせるかを決める。
また資格の勉強を始めるときに、「会計を網羅的に勉強したい」という動機を持つ人もいるが、実際に勉強を始めてみれば、会計を網羅的に勉強することは広すぎて非常に難しい。ばくっと会計といった時には「経理、会計、税務、財務、監査」ととても多くの領域を含んでいるはずだ。USCPAの勉強もあくまで会計という概念の基礎と各領域の端っこをかじるぐらいであり、網羅的な視点は身につかない。そのような視点もやっぱりいろいろな実務を長い期間にわたり、様々な会社・部署で経験して初めて身に付くものだと思う。
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結局、USCPAの資格のメリットとは?
こうやって見ると、USCPAの資格を持つことの有用性は非常に限定的に思えるけど、自分のキャリアの上ではやっぱりとても重要だったと思う。「転職」という入口のハードルを下げる効果は間違いなくあり、「実務が大事」と何度も書いてきたけど実務を積むためのルートが出来なければ、経験を積むことすらできない。USCPAの資格があれば、少なくともその入り口を突破する確率は飛躍的に上昇するはず。
また今の日本であれば幸いなことにUSCPAがあれば監査法人に転職することが可能だ。未経験で入るのであれば、年齢や前職に関わらず最も下の職位であるスタッフで入ることになると思うが、それでもそれなりの給与は確保されている。社会的な見え方も良いかもしれない。ブラック企業と呼ばれるようなスキルも身につかないが労働時間は長く、かつ残業代も支払われないという職場環境であれば間違いなく監査法人に移った方が良いと思うし、それだけでもUSCPAへの投資は元を取れると思う。
でもなによりも良いのは、一定の年齢までは監査法人への転職が高い確率で可能なのであれば、その転職はあくまで保険として考えて、その前に大いにやりたいことに挑戦したらいいんじゃないかと思う。やってみてそちらがうまくいけばそのまま続ければいいし、ダメなら諦めてそのとき監査法人に転職すればよい。一部の突出した優秀な人を除いて、リスクを顧みずに挑戦し続けることはやっぱり難しいので、保険をかける意味でUSCPAを取ることは決して悪くはないと思う。アスリートでも経営者でも挑戦をして成功した人がよく、挑戦する前に失敗したときの最悪の状況を想定すると聞くことも多いけど、「失敗して監査法人にいける」ということであれば、それは非常に割の良い保険と考えられる(少なくとも自分はそう考えていました)。
監査法人で働いている人が見ると、「そんな簡単な職場じゃない!」とイラっとするかもしれません。が、決して監査法人の仕事が楽とは思っていません。ある程度年がいってから監査法人にスタッフで入ることは中では大変だろうし、昇格もそんなに期待できないはず。それでも今の人手不足で売り手市場の中ではUSCPAがあれば入口を突破することはそれなりの確率で可能だとは思います。
結論として、今の自分の仕事にUSCPAが役に立つことは全くないけども、やはりここまでのキャリアでは精神的な支えとして資格があってよかったと思う。あくまで実務が大事というのは変わりませんが、今試験を目指して勉強されている方ははぜひ頑張ってほしいです。
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最後にUSCPAのデメリットも
ちなみにデメリットとしてはUSCPAの登録をし続ける限り、更新料を支払い続けなければいけないこと。これは日本の会計士も変わらないけど、ぼったくりとしか思えないが、どこの国も業界団体が権力と金を持つのは世の常なので仕方ない。