USCPA(米国公認会計士)を取得後、多くの人は今いる企業を退職して転職を考えられると思います。
実際、USCPAに合格して転職した場合にどれだけ年収が上がるのでしょうか。
1)日本の平均年収は?
30歳の日本の平均年収
まずは日本の平均年収から見てみます。30歳での日本の平均年収は417万です。
引用サイト:DODA 平均年収・生涯賃金データ
男性のデータでいくと、300万円〜500万円のレンジで50%近い人達が当てはまります。業界や役職によっても異なると思いますが、概ね多くの人が600万以下であり、600万以上をもらっている人は10%強です。
年収1,000万は1%以下
さらに30歳の時点で年収が1,000万円を超えている人はわずか1%です。確かに周りのイメージでも総合商社や証券会社、財閥系の不動産、広告などの勝ち組と言われる業界の人だけが達成できるのかもしれません。
ちなみに、金融系の銀行もわずかに1,000万に届かない水準ではないかと思います。
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2)USCPA・会計士の平均年収は?
それでは公認会計士・USCPAの平均年収はというと、監査法人は上場企業ではないため、公開情報がありません。
そのため、下記の情報は推測でしかありません。
◯4大監査法人の新卒の給与
まず新卒者の給与を見てみます。新卒と言っても学生時代または卒業後すぐに公認会計士の試験に受かった人たちが対象です。
参考としてあずさ監査法人の採用ページを見てみます。
参考ページ:あずさ監査法人 新卒採用(東京事務所・大阪事務所)
初任給は月額190,000円と案外通常の企業と大差無いようにみえます。しかし、これは基本給であり、監査法人は通常激務です。膨大な残業代がのっかります。
しかも新卒で入社してきた4月のタイミングは、3月の決算の時期で監査法人の繁忙期でもあります。終電ギリギリ(ときどき会社に泊まる)ような生活がGWが終わる頃まで続きます。
もちろんGWは毎日仕事です。残業代でバンバン入ってきて、遊ぶ金があっても、遊ぶ時間なんてありません。
残業代は部署によって違うとは思いますが、通常は基本給にも匹敵する金額が入り、新卒給与で約40万前後になるようです。大学卒業して、いきなり40万入ってきたら、ちょっと間違った使い方してしまいそうですね笑。もし毎月この程度の金額が入り、ボーナスも考慮したとすると初年度から500万近くいきますね。
これはあくまで日本の公認会計士の例ですが、難関資格を合格しているだけあり、新卒からやはり高給のようです。
ちなみに学生時代にUSCPAを合格して監査法人という方は数としては少ないと思いますが、年収ベースで約100万ぐらい低くなると聞きます。
それでも年収で400万あったら新卒ではかなり高い方ですね。
学生時代に公認会計士の勉強を必死に行った彼らの年収が高いのは分かりますが、やっぱりちょっと羨ましいですね…。
◯30歳の時点の年収は?
30歳の年収もやはり公開情報がないので正確には分かりません。しかし、私が知り合いの方から聞く限り、1,000万は超える水準にあるようです。
監査法人は基本的に毎年昇給していくようですが、役職によって大きく変わります。
基本的には下記のような水準のようです。BIG4の中では新日本監査法人が最も給与が良いと聞くことがありますが、そこまで大きな違いはないようです。
役職 | 年次 | 給与水準 |
スタッフ | 入社1〜4年目 | 400万〜650万 |
シニア | 入社4〜7年目 | 700万〜1,000万 |
マネージャー | 7〜10年目 | 900〜1,100万 |
パートナー | 10年目以降 | 1,200万〜1,500万 |
シニアでは1,000万を超えても、残業代のつかないマネージャーで年収が下がるという方も結構いるようです。
上記は公認会計士の水準なので、USCPAの場合には50万〜100万ぐらい下がるイメージになります。
新卒で入れば、30歳のときにはシニアのポジションにいます。そのため順当に昇給・出世をした人は1,000万に届くようです。
◯USCPAに合格して転職した場合には?
監査法人では資格をとって入ってきた人は、他の業界でのキャリアがあったとしても基本的には一年生、すなわち新卒と同じ扱いになります。
そのため、30歳で転職する人は、スタッフからの入社になり、年収の水準も400万から500万になると予想されます。
もともと仕事をしていた業界にもよりますが、30歳で転職をすると、入社時は多少は給与が下がるかもしれません。しかし、監査法人で学べることは非常に多く、スキルアップには間違いなくつながります。
監査法人に入ったあとも、ずっとそこで働くのか、また会社を変えるか、その後のキャリアは広がっています。
もし監査法人で働き続けることになったとしても、しっかりと結果を出して、ポジションが上がっていけば、最終的には年収は上がり、十分な水準の年収を得ることは出来そうです。
3)年収1,000万はUSCPAで十分可能
ここまで日本の公認会計士を中心とした監査法人を基準として年収・給料事情を見てきました。
何度か書いていたように、残念ながら同じレベルで仕事ができるという場合には、USCPAの給料50万〜100万円ほど少なくなってしまいます。
しかし、7〜10年年ごとをしっかりとこなして、評価の対象となって昇格をしていけるのであれば、年収1,000万も十分に可能な水準です。
一つの目安として他のサイトで掲載されている情報は次のとおりでした。
USCPAの年収具体例
・1人目
社会人歴:2年程度
業種:メーカー
年収350万程度・2人目
社会人歴:3年程度
業種:IT
年収:430万程度・3人目
社会人歴:5年程度
業種:監査法人
年収:550万程度・4人目
社会人歴:5年程度
業種:IT
年収:450万程度・5人目
社会人歴:13年程度
業種:監査法人
年収:1000~1100万程度・6人目
社会人歴:6年程度
業種:監査法人
年収450万程度・7人目
社会人歴:12年程度
業種:監査法人
年収:1000~1100万程度・8人目
社会人歴:9年程度
業種:監査法人
年収:残業により1000万いくか・9人目
社会人歴:20年程度
業種:監査法人
年収:1200万以上・10人目
社会人歴:15年程度
業種:監査法人
年収:1000万程度・11人目
社会人歴:20年程度
業種:銀行
年収:1000万程度・12人目
社会人歴:3年未満
業種:外資メーカー
年収:400万程度・13人目
社会人歴:14年程度
業種:外資ベンチャー
年収:1500万~出典:会計日記
もちろん、よく言われるように年収や給料だけが決して仕事の報酬ではないはずです。
しかし、資格の勉強という厳しい試練の時間を過ごすことを考えると、間違いなくメリットがあるんだと自分に言い聞かせて理解をしておくことは重要です。
4)コストパフォーマンスは非常に良い?
USCPAの資格は十分に働きながら取得することが可能です。
人によっては1年から2年、場合によっては5年近くかかってしまう人もいるかもしれません。
また予備校代はもちろん安くないかもしれません。
検索 予備校 独学か予備校か?ほぼ独学のUSCPA(米国公認会計士)の勉強法2015
それでも、合格後に監査法人に移り、上で示したような水準の報酬が得られるのであれば、十分に魅力的といえますよね。
5)年収は下がるが海外の就職も視野に
ここまでUSCPAを取ると年収が上がるのかという話をしました。
結論としては多くの人があるのではないかと私は思います。
でもUSCPAを取ったあとには、海外で働くという選択肢もあります。
しかし、海外で働くという経験は自信につながりますし、自分の人生について深く考える時間にもなり、非常に良い経験ができていると思っています。決してお金で買えない経験と感じています。
USCPAに合格すると、日本国内だけでなく、海外で就職できる可能性がぐっと広がります。
USCPAなので、アメリカももちろんですし、アジアを始め様々な国で需要があります。
海外で仕事をすることは誰にとっても良い選択肢になるとは必ずしも思いません。そもそも日本が大好きで、日本で生きていきたいという方なら、それは日本で仕事をすべきです、当たり前ですが。
ただ、USCPAを目指したということは、少なからず海外での仕事に興味があるのではないでしょうか。
ぜひ国内だけでなく、海外で仕事をするということにも目を向けて、一つの選択肢として考えて下さい。